2020夏の瑞牆ツアー
「安西先生…‼️ クライミングがしたいです………」
高校最後の儚くもあはれな夏。
皆さんにはどんな輝かしい、甘酸っぱい思い出があるのでしょうか。それとも受験勉強の辛酸を嘗められたのでしょうか。そのどちらも(⁉️)忘却の彼方へ忘れ去ってしまった哀れな男、ここにあり。負けるな一茶 これにあり
お盆休みに、久々(去年の秋振り)に瑞牆に行ってきました。
Day1
昼に名古屋で合流して夕方に北杜市着。
ナイトクライミングで皇帝岩下流エリアへ。
Day2
四ノ谷、三ノ谷、二ノ谷セクターへボルダリング。夕立にやられる。長坂IC横のオギノの中にあるラーメンを食らう。
Day3
不動沢屏風岩
夕立予報で15:00頃に上がる。
Day4
不動沢屏風岩
百獣の王を朝イチで完登し、昼には切り上げ。
Day5
不動沢屏風岩
がっつり1日クライミング。いろんな人に再開できて嬉しかった。
Day6
ハットエリアにてボルダー
流石に疲れはてていて、アプローチ、ボルダーともヨロヨロ。昼頃は全員脱力ユルフワお昼寝タイム。このエリア、涼しいです。
成果
不動沢屏風岩 百獣の王 5.11c ☆☆☆ RP
「瑞牆本の表紙」
これが一番分かりやすい説明ではないだろうか。屏風岩の正面の垂壁~薄被りの綺麗なフェースを、右に左に進路を取りながら25m登る。実際の登攀距離は30mに及ぶであろう。そしてこのルートの核心は最後のクリップの手前のワンムーブとガバのレストポイントを挟んだ終了点20cmに鎮座している。瑞牆本には
「適度な難しさとレストポイントが交互に現れて徐々に力を奪われ、最上部のテクニカルな核心で落とされる」
とあるが正にその言葉通りのルートである。
私のトライでは、一便目のMOSトライで8ピン目でテンションが入り、その後3テンほどで抜けた。二便目と三便目はともに終了点クリップの一手前で落とされた。30m登ってあと一手。自分の弱さが露見する瞬間である。ムーブは完璧に脳内再生され、レストもしっかりできたが、決めきれなかった。MOSトライの消耗と、今すぐにでもやって来そうな夕立への焦り(実際小雨は降っていた)が最高のパフォーマンスを発揮することを妨げた。なまじ12クライマーでもあるため、クライミングをしていてここまで悔しい敗退を喫したのは初めてであった。
○このルートは切り出されるムーブ自体の強度は決して高くなく、ホールドもインカットしていてポジティブである上にフェース上に無数に散りばめられているためそれを手足でどのように使うかのムーブ組立能力が求められる。全て上部核心で落とされないために。
今回のトライでは一便目でほぼ全てのムーブを解決し、二日目のアップのヌン掛けでさらに洗練させ、RP時には手足のムーブが自動化し満足のいくクライミングができた。
「体が覚えてらっ」
文句なしの3つ星
満足です。
不動沢屏風岩 ア・プリオリ 5.11a ☆☆☆ OS
こちらも瑞牆本の「不動沢の岩場」と「屏風岩と周辺の岩場」の扉写真に起用されている「エリアの顔」と呼べる名ルートである。
○ルートの概要
下部にエンペラー・クラック 5.9の核心のワイドを共通部分に持ち、中間部にフェイスムーブが登場する。そして上部のジャムもカムも効きが甘いフレアーしたクラックが、展望抜群のエンペラータワーのピークへと導いてくれる。オールナチプロで内容の詰まった魅惑の割れ目である。
▲核心(?)の遠い一手
今回、このルートをオンサイトで完登することができた。下部のワイドは二度もクライムダウンで引き返し、フェイスムーブも一度クライムダウンで引き返し、完全にパンプしきった腕でフレアーしたクラックに渾身のハンドジャムをぶちこむ。
セットに100%の自信が持てないカム、左下に大きく切れ落ちた地面、極度のパンプ、オンサイトへの強い意思、もうだめだと絶望したときに現れるボトミングフィンガー、ガンバのコール、そして不動沢を吹き抜ける嫋やかな薫風、アドレナリン噴出のクライマーにとって最高のそんな濃密な時間の中で……
私はいつしかガバを掴んでいました。
これまで登ったクラックの中でも最高の、これは間違いなく最高と言い切れるトライだった。終了点にグリップし、一番高いところまで登ると対岸には隠し金探し。辺りを見渡すとこれぞ不動沢といった絶景。突き抜ける青空。吹き抜ける薫風。そして私の心は静かだった。
C4#7,4,5,6(ワイド)
X4#0.3&トーテム黒(フェイス部分)
トーテムオレンジ,X4#0.4,紫,黄(フレアークラック)
写真の通り、まぁまぁランナウトする
ハットエリア 穴課長 2級 RP
前述の二課題と比較しても見映えせず、グレードも低いこの課題。自分にとっては心に残る一本となった。クライミングにグレードは関係無いと、最近つくづく思わされる。
ボルダーの成果か出なかった。持てない瑞牆ホールドにヌメリが相乗効果的に上乗せされ、一級で連続敗退する始末である。踏ん切りを付けてルートに切り替えたが、自分の弱さに辟易したことは言うまでもない。
そんなとき、滞在6日目にして最後の最後にトライしたこの課題。途中まではスムーズに解決したか、最後のポケット取りがどうしても出来ない!
そんなことしてる間にメイさんがなんとトップアウト!ryomeiさん真っ青!
僕たち二人はだんだん高度が下がってきて、太陽の角度も下がってきて不穏な空気に。僕はハッキリ言って敗退の2文字が浮かんでいた。
そしてついにギリギリこなしていた三手目で落ちる。前腕が張って諦めモード。そしてラストトライ。遊び倒した六日間の真のラストアテンプト。
張り切った前腕をいなし、苦しかった足あげも何とかこなし、安定してポケットを掴んだ。悪いと評判の(木を使うか否かで1グレード変わる。)マントルも全く問題なくこなし、岩の頂上に立ったとき、こんなグレードで雄叫びを上げていた。
「あきらめたらそこで試合終了ですよ」
もっとフレッシュだったら楽に登れていたでしょう。昔の僕なら諦めていたでしょうか?課長さんは僕を強くしてくれたでしょうか?
その他と需要0の怒濤の敗退集
雨の弓
不動の日々の隊長
マドマーニャと命名した即席郷土料理。バリ美味い。
リッチな旅
全体を通じて
今回は仙田さんとがっつりボルダー&ちょこっとリードをする予定が、現地に行ったら知り合いだらけでバリバリトラッドやっちゃいました。TCプロもカムも置いてきたのでキビシイ部分はありましたがアナサジで何とか乗り切りました。滞在を延長でき、ギアを貸していただき、瑞牆生活でも大変お世話になり、帰りもわざわざ遠回りしてまで送って頂いたkiyomiさんとmiwaさんには感謝しかありません。ありがとうございました。
miwaさん操る絶倫デリカがクソ暑い関西へと戻るとき、僕の頭は次のクライミングを考えている
次は何を登ろうか!
コメント