注文の多い料理店

小学5年生の賢治は言った。

「無闇に偉くならなくてもいい」

と。

その思考は「雨ニモマケズ」から始まるあのあまりにも有名な一節に体現されている。

「サウイフヒトニワタシハナリタイ」

と。

ところが、である。

現代に生きる我々クライマーは非常に利己的である。

己の欲望のままに生き、ガソリンを撒き散らかし、家族に迷惑をかけ(!?)、心配させる。

「無闇矢鱈に強くなりたい」

これこそがクライマーである。

満ち足りたはずの現代社会に圧倒的に満たされなかった彼らは今日もまた、安全も、快適さも、楽も捨て、山に向かう。

生物35億年の歴史の中で、追い求められ続けたかもしれない支配と安寧が存在するこの環境で、、

だからこそ、我々は誠実でなくてはならない。5体満足で趣味を謳歌出来ることがどれほど幸せか。この狭い国土にこれほどの自然が詰まっていることがいかほどの奇跡か。そのほんの一部を全身で感じれる我々は生物として無常の喜びの中にいると。

だからこそ、アイゼンでレイバックを強いられても、コンクリートみたいに凍りついた草付きも、ワイドにアホみたいに不安定な雪が詰まっていても、それによって激落ちしても、降ってくるスノーシャワーでとても上なんか見れなくなっても、下山がどれだけ遅くなろうと、大いなる自然に木偶の坊と蔑まれようとも、

笑って全てを吹き飛ばし、馬車馬のように動き続ける、

サウイフ”クライマー”ニワタシハナリタイ


記録

錫杖岳 烏帽子岩前衛フェース 「注文の多い料理店」

期間:2023年2月18日

メンバー:ミラーマン、穴さん、h井さん、わし

時間よく分からず、、恐らく6:00前に出て20:00前に下山してきた。

出発
見上げるポイント。1ルンゼの結氷が良い。
北沢にて。注文の取り付き
1p目のフォロー
枯れ木のテラスからの激こわトラバース
この辺りから小雪。スタンスに少し被るだけで登りにくくなる。
ハング抜けてからも悪い
3p目のリード。出だし悪い。気合い一発でスタンス乗ったところ。
3p目のビレイ点。
3p目をフォローする穴さん。激烈なスノーシャワーを喰らう
フォローのミラーマン。映えまくり。
この先は無理だ、
最高点で集合写真
暗闇懸垂
最後は雨。お疲れっした。

とにかく、めちゃくちゃに楽しかった。充実していた。本当の冬季登攀を少ししれた気がした。自分の中で一つスイッチが入った。そんな山でした。

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