憧れ (feat.igagurigasshuku)
日本で、本当に登りたい三段がいくつかある。
瑞牆の百鬼夜行、恵那の寂滅、南紀のオーマなどの数少ない課題ががそれにあたる。
それに伴い、各段でこれだけはという課題を挙げると、
三段 寂滅
四段 言葉と物
五段 Emotion
こうなる。これらの課題は、我がクライミング人生のどこかで登っておかないと、一点の悔い無く終われないといった課題達である。
その、寂滅である。
何年か前から、憧れ続けていたライン。元々4段だった事と、あまりの高さと下地の悪さから、憧れは理解からは最も遠い感情だった。
ちょうど1年前に初めて対峙し、言葉を発せなくなるほどの衝撃を受けた。それほどまでにかっこいいライン。
半年前に、イガグリ大先輩といつかトライしましょうということになった。
そこから自身初の4段を登り、迎えた今シーズンの序盤は、2か月間1つの課題に生殺しにされる日が続き、ボルダーモチベは最悪に低下していた。
でも今回の恵那ツアーは大先輩が来てくださり、最強のセッション相手と、潤沢なマットで憧れと一戦交える事が出来た。
Day0 11/18
毎度の如くBBさんと筒井駅に集合して恵那へ。麓のファミマで飯を買い込み記帳したら駐車場へ。
駐車場からは素晴らしい星空。そしてOLYMPUSの星空AFとm.zuiko proレンズはやはり凄まじい。
Day1 11/19
朝、イガグリさんと合流。コーヒーの差し入れありがとうございます。てか、缶コーヒー進化してません?ブラックなんてただの苦い水だったのに、ちゃんとコーヒーになってる。
朝一はとりあえず里駐車場のフィンガーボードでアップしたが、若干湿度が高め。うーん。
チャチャっとアプローチしてイースターの岩へ。
まずはクラッカーとしてモアイクラックをサクッと。アップにもならんかと思っていたが、どうして結構悪いジャムだった。0.75とか。
続いてイースター。イガグリさん一撃。バカ強い。俺とBBさんは少しハマる。BBさんは冗談気味に話してたキョンムーブ。俺は気合のヒールトゥ解除で押し切った。
地味にヨレた、、
さて、すぐ上の寂滅へ。
本題である。
潤沢なマットを敷き詰め初手から。
悪い悪い。
何んとなくスイートポイントが分かってきて、止まり始める。イガグリさんはそのまま一気にランジの体勢を探り始めた。仕事はや!
俺はというもの初手どりで革新的な足を見つけて100%に。その後のヒール掛けもめちゃくちゃ厳しいけど意外にも左手の持ち方とポジショニングが分かってくるとできるようになっってきた。
次のランジの体制に入るのも悪いが、足位置で解決。という間にイガグリさんは繋げでランジを止めてしまった。
でもやはり下で結構ヨレるらしく、ガバ地帯から2度降りてきた。そんなこともあるんだな…
小休止のため春風(3段)へ。俺は温存。カメラマンモード。
舞い戻って寂滅。
イガグリさんは、「こんなもん後30分あれば片付く!」って言ってその通りにしていた。さすがすぎる。俺はひたすら最後のランジのバラシだが引き付けがむずくて全然右に体重が乗らん。そんなかんなで1人でひたすらバラしてたらようやく一回止めることができた。
BB、イガグリ両氏はノブスマとカンナルバロウを退治していた。
さて繋げ。
1回目はランジを外す。2回目はしょうもない落ち方して3トライ目。ついに核心のランジを止めた。
異変はその時起こった。直前にぶっ壊れていたソリューションコンプのせいでヒールがかからず、足位置を全く見ていなかったのでガバでレストするどころか消耗。無理矢理行こうとするもさすがに腕が限界を迎えていた。ボルダーなら起死回生の一手が打てるところだが、これは寂滅。万一上部でボールしたら心置きなく天国に行けるので、さすがに降りるほかはなかった。
少しレストをするも、もうこの腕であのランジを止めることはできないなと思うと同時に、不思議と自分の中で満足感が込み上げてきた。
完登もしていなければ実質終了みたいなガバまで行って降りてきたのに、、、
と、
ここで終わると思ったそこのあなた!
それは大きな間違いである
これは秋のイガグリガッシュク。日が落ちたからといってクライミングが終了するなんて考えは言語道断。しかも明日は雨予報。やるしかない。
荷物をまとめて一度下山。ファミマで飯をかき込んでからもう一度里駐車場へ。真っ暗になってから降りてきて、車で下山したかと思いきや舞い戻ってきてまたマットを担いでアプローチした俺らを人はどんなふうに見てたんだろう。
車道を歩いて里西エリアへ。お目当ては月の舟(2段)。全身疲労困憊焦点不定腕痛痛限界深夜打込が幕を明けた。
これでこそイガグリガッシュクだ!!!
結局月の舟はイガグリさんが職人のようにバラして安定して抜けていった。僕は眠さと腕の痛さと指皮のズルズル度合いが相まってムーブは起こせるものの繋げることはできなかった。ガックシ。
まぁ朝からずっと寂滅やってたしなぁ。
かくして朝8時スタート26時終わりの長い1日が終わったのである。
Day2 11/20
さて。深夜の激闘を終えた我々は余った食料を全てかき込んで、イガグリさんは黒霧島をストレートでブリブリにキマって、眠りについたのである。
朝、比較的ゆっくり起き出すと、やはり雨で、イガグリさんをもってしてもこれは全滅だということ。解散して帰路についた。
時間があるので下道で帰った。BBさんと何やかんやでいろんな話を喋り続けて、飯なんか食いながらのんびりドライブ。気付けば名阪国道のΩコーナー。奈良市街が一望できてやっと帰ってきた感の出るところだ。
ん?
ん!?
んんん〜〜〜!!??
晴れてる!!!
登れんちゃう!?
ここから近いのどこや!?
武庫川!?
いや、笠置がありますよ!
笠置か!
行けそうですね!
行くか!!!
一瞬晴れ間が見えた。
その瞬間、完全終戦モードだった我々は一気にイキリたち、15秒で転戦を決めた。
笠置(山)to(京都)笠置なんてオツですね〜
なんて言いながら(爆)
自分はアップした時点で体が死んでると感じたけど、何とか奮い立たせたらクリオネの2手目が止まった。去年止めれてなかったから嬉しい。強くなってるかも。
想い
あの時、なぜ僕は満足したんだろう。
その答えを考えていたときに、一つ、思いついたことがある。
それは満足の対象。
自分は何に満足するのか。
完登の結果か?
過程か?
グレードか?
見栄えか?
労力の少なさか?
スタイルか?
そもそもクライミングにか?
特に、昨今、このボルダリングというクライミングスタイルはその辺りの信念が欺瞞に満ちることが少なくない。今一度、自分と対峙しなければ、クライミングが持つ文化的側面をただの消費行動にすり替えて、その価値を半減してしまう怖さがある。
自分も、ここ最近はボルダラーで、ともすればそういった考えに偏らないわけでもない。むしろその世界を見るのも一つ、大事なことだ。その上で、今回自分が感じた満足感というものは、自分のクライミング、もっというとそのパフォーマンスそのものに純粋に満足した結果だったのかと感じた。
悪くない話ではないか。と。
p.s. 寂滅パートナーゆる募です〜
コメント
コメント一覧 (2件)
かっこいいなー nishiもみんなも
久々にイガグリさんにも会いてえなー
ありがとうございます。イガグリさんもこちらの事は結構気にして下さってました。