上高地定着冬壁合宿 或いは穂高パチンコ未遂

2026年夏の遠征に向けて、メンバー内での登り合わせと継続的な登攀のシュミレーションのために年末年始の穂高パチンコを計画。

登場人物

ミラーマン:ニヒルな雰囲気で異性を籠絡するワルイ彫刻家。普段あんまりトレーニングも激しいクライミングもしていない(筈な)のに何故かめちゃ強い謎の男。今回は1泊のみの参戦。

ケースケ:クライミングの悪魔と契約してしまった悲しき青年。台湾で藪を漕ぐ仕事をしている。日本最強のセンスみ系クライマーとして各界から大注目を浴びている。

私:関西から信州の下道運転という能力にステを全振りしていたが、通い5年目にしてようやく山の近くに住む素晴らしさを痛感している。クライミング界最強のハガキ職人としても有名。


ミラーマン「やぁ、デイブ!久しぶりだな!パタゴニアに遠征に行くとか言ってなかったっけ?」

私「あっ、あぁ〜。パタゴニアね。ちょっとぉ〜天気が悪いみたいだからさ、ここでお留守番ってわけぇ。」

ミ「災難だったなぁ。ところで今までどこで何をしていたの?」

私「Ah〜、バルトロ氷河で、テトリスさ!」

ミ「そうか。紹介するよ。こいつがビアフォ氷河でグレードに縛られないボルダリングを探求しているケースケだ!」

私「Ah〜。俺がヨセミテバレーでヤマテンを見ているデイブだ。有料のくせに、よく外すんだぜぇ〜。」

ケースケ「よろしく。そしてこいつが自らアトリエを構えて制作活動とクライミングを両立させているミラーマンだ」

私「えー、カレーメシが一食だとちょっと足りないから、1.5食持ってきたデイブだ。ルーは1食分で丁度いいんだぜぇ」

day0

塩尻でミラー・マン車に拾われて、釜トンへ。ミラーマ・ンは普段ヘラヘラしているくせに、芯食った質問したらこう、目がクワってなって切れ味鋭い思想が飛び出すので、適度に避けながら火をつけてまわるのが楽しい。1時間ほどご高説を賜ったところで釜トンにつき、荷物をドロップしてから坂巻温泉に車を停めようとすると、6日は停めれないことと、19時までに出さないといけないことが判明。必然的に沢渡からの7kmのロード歩きが確定する。

途中私がクライミング界のあらゆるコンテンツに噛みつきまくる地獄のような時間を経て、2人に大人な対応をされながら小梨平へ。夜はミラ・ーマンが用意した最高の鍋。でもウインナーは食べすぎた。

明神2263峰西壁大凹角ルート

快晴はこの日のみ

初日は3人で2263の西壁へ。ルート取りは色々迷ったけど、1番目についてまだ登りやすそうだった大凹角からあわよくば南壁ルンゼに継続する計画。2人がう○とをぶっ放しているのを横目に1p目は私。

四つの苦み、八つの苦み

悪かった。支点がほぼ取れないのにクライミングも結構難しい。シーズン初めでアイゼンで岩に乗り込む感触が全然分からない。終了点の手前ではほぼフリーソロでツルツルのスラブをのっこすハメになった。怖すぎて鳥肌で長野県産のワサビがおろせたので晩飯で食いました。

2p目は酒の悪魔ミラーマンが担当。右にトラバースしながら凹角に入り、30mほど伸ばす。こちらも相当悪そうでかなり時間がかかっていたがなんとか突破。フォローで登ってみてもやっぱり悪い。

3p目はケースケさん。世界のケースケがかなりジリジリと登っていく。相当悪いんだろう。絶妙に乗った雪が邪魔をして、除雪に時間がかかり、消耗してしまう。ハイシーズンはベルグラになってある程度登りやすいかもしれないけど、やっぱり年末年始は壁の状態は良くないんだろう。

南壁ルンゼに継続どころか大凹角ルートすらトップアウトできずにここで終了。本には3ピッチって書いてあったけど、あと2pはありそうな感じがした。かなり悪かったとはいえ、やっぱりミックス壁での登攀スピードはまだまだ課題。僕はというと登るのが遅すぎて気づいたら足にフジツボが生えていたのでワイドクラックにねじ込んでこそぎ取っておいた。

懸垂で真っ暗になったものの同ルート下降なのでプレッシャーは少ない。大きく1pで元のルンゼに戻り、S字を駆け下って上高地へ。年末年始に実家でヌルく過ごす男、ミラヌジャンはこの日でお別れ。パチンコを諦めて上高地で定着する僕らに向けて4テンを残して去っていった。

六百山北壁中央稜

30、31日の天気がかなり悪く、ルンゼ登攀になる屏風岩、標高の高い稜線になる前穂北尾根は結構厳しくなりそう。

というところで効率的に壁を登るべく、まだ天気がマイルドそうな六百山に行ってみることに。遥か昔に島田さんにお勧めされて、なんとなく心の中にはあったけど、藪壁の印象が強く、これまであまり食指をそそられなかった。遠征トレーニングも兼ねて、記録を調べずに(殆どないけど)、壁を見て登る場所を判断しようというコンセプト。

中で直立できるウロを発見
これの右側の側壁

1975mの北壁は面白そうだけど短そう。ということでとりあえずひたすら沢を詰める。一番急に見える真ん中の稜線のやや右に回り込んだところ(西面)が一番傾斜が強い。人生が背水の陣でお馴染み我々は、もちろん一番の強点をつく。

下部の2pは、想像のちょうど倍の登りごたえ。特に2p目はツールクリッパーに木の枝がクリップされたり、スラブすぎてアックスでキャンパしたり、普通にバーティカルのミックスが出てきたりと盛りだくさん。

2pで傾斜が少し落ち、稜線を目指せそうだったので、サイマルに切り替えてゴリゴリ進む。セカンドがケースケさんなのでなんのストレスも無い。稜線自体は結構ガッツリ除雪系の雪稜で、私のタイプすぎて変な笑みが溢れた。

本丸

サイマルを一度切り替えて、オーバーハングしたボルダーから2mくらいジャンプで飛び降りる荒技を交えながら進むと、中央稜の本体があらわれた。想像以上にぶっ立っている。末端の壁は登れそうだったけど、2p目以降は確実に日没になりそうだったので、流石に回避。100mほど進んだところの顕著な凹角に取り付いた。

渾身のリードをカマすケースケ

下部のオープンブックは安定して超えたが、上部で苦戦している。両足と片手が抜けて、アックス1本でキャンパするという神業を披露しながら(ガチ)落ちずに突破していった。やはり世界を舞台にタタカう男は出来が違う。僕も気合を込めて魂のノーテンフォローを果たした。

その後は藪の稜線。ひたすらサイマル。途中で日没を迎え、稜線に出たせいで結構な風雪。ぼちぼち消耗してきた体に悪天と深雪が堪える。言葉少なげに歩いているとなんとか山頂に達した。

ケ「ここより高い場所は、世界にもうどこにもない!!」   私「この世界に僕ら2人だけ、みたいな感じだねっ!」

下降は北東面になるのでかなり雪が吹き溜まっている。際どい雪崩地形を的確な判断と連携で超えていく。少々降りすぎたりしながらも、ケースケさんがあたりをつけた沢に入ることに成功。なんかどうでも良くなってゲラゲラ笑いながら死ぬほど尻セードして帰った。明日は沈殿だから、いくらでも残業できると踏んで攻めたけどなかなかいい登山だった。やっぱりアルパインは登山なのだから、山頂を踏まないと示しがつかない。登攀自体も内容が濃いうえに、まだまだ遊べる余地は多そうということが判明した。

六百山はキツかった。僕らには四百山くらいがちょうどいいのかもしれない。

様変わりした2263南壁を見つめるダクトテープの悪魔ケースケ

大晦日は一番予報が悪かったので沈殿。ゆっくり起きて、下ネタばっかり言い合って、適当に散歩して、昼寝して、また散歩。ケースケ氏はというと、多分カラファテとかRoof Rockでの彼の姿しか知らない人が見たらビックリしてジェラートが沸騰してしまうレベルのハイテンションで洋楽を歌いまくっていたため、筆者は放っておいて読書。暗くなりはじめてからアホすぎて勢い余って穂高神社に1日早い初詣をキメておいた。

墜落の恐怖、雪崩の恐怖、落石の恐怖、悪天の恐怖、日没の恐怖、クライミングにおけるあらゆる恐怖に関する悪魔

2025年12月31日11時37分42秒

クライミングの悪魔、上高地に上陸

2025年12月31日11時37分46秒

クライミングの悪魔、上高地周辺3kmのすべての既登のアルパインルートを完登

2025年12月31日11時37分47秒

クライミングの悪魔、小梨平に向けて進行開始

2025年12月31日11時37分49秒

私「助けてノミックマン」  私、2本のノミックの魔人、即ち、右手のジェニファーと左手のサイモンを召喚

2025年12月31日11時37分56秒

クライミングの悪魔、半径3kmの登攀可能と目されていたすべての未登ラインを完登

2025年12月31日11時37分57秒

私、クライミングの悪魔の最弱攻撃、ションポリビンタをくらい観測史上1回目の死亡。誰かの適当なナルゲンをションポリに変換する地獄みたいな能力を使用し復活

2025年12月31日13時41分20秒

クライミングの悪魔、昼寝

2025年12月31日15時29分11秒

クライミングの悪魔、昼寝から目覚める。もう暗くなりかけているのに穂高神社にフライング初詣をキメにいきたい所存を明かす

2025年12月31日16時49分07秒

クライミングの悪魔、穂高神社奥宮に27秒上陸。お参りの後は1礼か2礼か分からなくなる。

2025年12月31日17時20分39秒

私、こんなに暗くなってしまった悪態をつくことでクライミングの悪魔の討伐に成功

大晦日の上高地を恐怖のどん底に落とし込んだクライミングの悪魔

八右衛門沢右岩壁前衛壁〜霞沢岳

あけおめ!

やっぱり天気が良く無いけれど、穂高の陰に隠れていたのならなんとか登れるだろうということで、無い頭を捻りに捻って絞り出したのがこのプラン。富山起点のW氏のブログにその存在が記載されている他は、実質的な記録はあまりない。相変わらずの出たとこ勝負で、テントと寝袋を持って遠征っぽいクライミングしてみよう!

前衛壁の全景。ぶっ立っている。

アプローチはやっぱり結構長く、雪も沈むので消耗した。ケースケさんにずっとラッセルしてもらう。不甲斐なし。

漢のド正面

前衛壁ではやっぱり目を引く右上のルンゼライン。やべえくらいぶったってるけど行ってみよう。下部のいやらしい草付き帯を全部フリーソロで突破してケースケさんが1p目。灌木混じりで30mくらい。

2p目は私。ノープロで草付き帯を上がったらハング超え。やっぱり抜けが悪かったけどなんとか突破。

2p目のハング超え

ハングを越えて摂理があったのでカムをきめる。ピッチを切ろうかと思ったけどもう少し進んでみることに。

結果的に摂理の無い岩壁に微妙に張り付いた草付きを辿るという、私の乏しいクライミング人生の中でも有数の悪いリードだった。

いやー、無茶苦茶ランナウトしたわー。俺の人生かと思いましたねー。

なんて冗談を言ってるとルンゼの最奥部まで抜けることができて、右手にチムニーが!これは登れる!

3p目のフォロー。ぶっ立っている。

3p目はケースケさんが惚れ惚れするリードで55mほど伸ばし、岩稜にトップアウト。下を見てみると、我々が登ったラインはかなりバーティカルで、満足感が高い。

その後はリード&フォローで稜線を4ピッチほど?登ったが途中で時間切れ。この日は2514mピークまで行って明るいうちにテントを張る予定が、とてもじゃないが間に合わなかった。悪すぎるぜ。

2400m地点くらいの微妙にコルらしく見えるところ。

結局、小ピークを越えてクライムダウンした先のコルで頑張って整地して何とかテントを張った。激しいクライミングの後の残業は消耗する。久しぶりに冗談少なめでテントに潜り込んだけど、水を作って飯を食ったら回復した。要するにアホである。

朝。写真では分かりづらいけど、テント1張りギリギリ

2日目。なんか知らんがまだまだぶっ立っている。明るくなるのをゆっくり待ってから、極寒の中再開。1pで傾斜が落ち、ひたすらサイマル。セカンドがケースケ兄貴というのは何とも心強い。

前方が不穏

流石にもう終わるやろとタカを括っていると、突然懸垂、からのまさ(花崗岩が風化したただの砂)の壁が現れてノープロ本気リード。さらに懸垂。どラッセルの藪登りと内容満点の雪稜が続く。

右を見ても左を見ても、ぶっ立った壁が乱立しており、エリアのポテンシャルの高さが伺える。アプローチは少し長くなるけど、開拓し甲斐は高そうだった。

そこからは初冬の北アルプス西面あるあるともいうべき藪バリズボで、消耗しながらも昼過ぎに霞沢岳山頂へ。西尾根を一気に駆け下って生還した。

10年の時を経て2度目の冬の霞沢岳の登頂を果たしたケ(以下略)

そこからは私が上高地のデポ品を回収に戻り、ケースケさんが沢渡に車を回収しに行くという素晴らしいムーブで時間を節約。長い長い林道区間はフジファブリックとtoeにギリギリ助けられた。18:30くらいに全回収できたので、松本で飯と風呂をキメて帰りましたとさ。

今回、目的のパチンコは達成できなかったけど、悪天の中で非常に密度高く冬壁を登れて大満足でした。特に、六百山から霞沢岳に至る山域は、まだまだ情報も少なく、穂高が悪天で入れなくても冒険的なクライミングが楽しめそうなので、是非とも訪れて、どしどし記録を公表していただきたい。

また、全装備を担いで難しいクライミングをこなし、微妙なところで寝て、、っていうのがまさに遠征のシュミレーションって感じで、これをメンバーとやれたのは最高でした。もちろん、僕が珍しく頑張れたのは心強いパートナーのおかげであることは言うまでもない。

イボイボがぐにゃぐにゃだぜ!

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