防災の災の方
栄の街は眠らない
一ヶ月間の収監を終えた我々は力なくそのコンクリートジャングルに佇むほかなかった。
私たち2人は当惑しながら、ひとしきり通りすがる騒がしい車-車を見るのもひと月ぶりなのである。を眺めた後、うなだれながら快活クラブを目指す。
臭い、汚い、きもい。深夜の煌びやか(?)な栄に突如として現れたその3K物体は、生まれて来てすいませんとでもいうかのように、肩を縮こめながら。
いやてか都会の快活たけーな。こんなの高級ホテルじゃんかよ。
そんなことを言っても出所初以来圧倒的に通俗的なその環境に、男たちの脳汁は溢れんばかりである。彼らはパンドラの箱を開けてしまったのだ。そこには一体何が残った?
次の日
刺激的な太陽と汚い空気と何より1ヶ月ぶりの蒸し返した暑さが私たちを覆う。そういえば彼の地では8月にも関わらずダウンが必須だった。ちょっと体がついていかない。ここはどこなんだ?
だが、踏みしめたタイルと、かすめる排気音が、徐々に娑婆に戻ってきたことを感じさせてくる。
帰る前に、イッパツBOOKOFFにでも行こうという話になった。低俗な脳みそで考えついたありったけの文化的行動が、掘り出し物の洋画を漁る事だった。どうやら一年に2回ほど無性に円盤を欲する時が来るみたいで、その時がそれであった。
さて、山を真剣にやっておられる諸兄ほどお分かりいただけると思うが、山をやればやるほど、山行の前後においてザックを蔑ろにしがちである。クソでか&重たいマカルーなんかを背負ってコンビニに突撃するのは、老人が発射するプリ○スミサイルのそれとなんら変わりはない。街でマカルーはテロなのである。もちろん我々もクソ重たいザックを背負い続けるのは嫌なので、必然的に段々その辺に置くようになる笑
だってあんなゴミ袋誰も盗らんでしょ。
さて話は栄のBOOKOFFへ。
例に漏れず我々はマカルーを放置した。でもできるだけ目立たず、邪魔にならない階段の隅に。
ところが、である。
ひとしきり店内を舐め回した挙句「都会のBOOKOFFはなんか高いなぁ」とかほざきながらザックがあるはずの場所に戻った碑人の目に、確かにそこにあるはずのゴミ袋マカルーは写っていなかったのである。
えっ、無いやん
続く→
コメント