【雨の読書2】古都

お嬢さんの、おしあわせに、ちょっとでもさわりとうないのどす。

川端康成『古都』 より
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最近マイブームだった川端康成の中で、印象深かった本を2冊。まずは『古都』。

represent京都を自称する筆者が、恥ずかしながらこの本は人からのお勧めで読むことにしました。

一時読み始めたのですが忘れていて、思い出した頃に書い直して更に積読していたので自分的には今更感がありますが、とても良かった。

川端康成の流麗な文章と、名所や年中行事と共に移ろいゆく京都の四季、また変わりゆく時代と共にある室町の呉服店。その美しい娘の身辺が絶妙な調和を保って淡々と描かれています。

少し不思議な魅力のある本作は、下のような経緯があるからなのかもしれません

多年連用の眠り薬が『古都』を書く前からいやいよはなはだしい濫用となって、(中略)ある日、眠り薬をぴたりとやめると、たちまち激しい禁断症状を起こして、東大病院に運ばれた。

『古都』になにを書いたかもよくは覚えていなくて、たしかには思い出せなかった。

眠り薬が書かせたようなものであったろうか。『古都』を「私の異常な所産」と言うわけである。

校正でだいぶん直したが、行文のみだれ、調子の狂いが、かえってこの作品の特色となっていると思えるものはそのまま残した。校正には骨が折れた。しかし『古都』が私の他の作品と多少ちがうのは、眠り薬のおかげだろうか。

『古都』あとがき より

京都に住んでつくづく思う、この土地の文化レベルの高さと、離れて思うその重要性。

京都の魅力って、有名な寺社仏閣とか、そう言うのだけじゃないと思うんです。

僕が思う真の魅力は、空間に身を置いているという体験そのものに、いちいち感銘できるというところではないかと思います。

そんな体験の質を上げてくれるものの一つに、小説という存在があります。

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