190813 屏風岩雲稜ルート登攀及び継続登攀計画

僕は2019年夏、18日間の予定で北アルプス方面に向かいました。それを三つの記事に分けて記録としようと考えていたのですが、屏風岩という記録の重要性と、ただ単に記録を拝見された方にいらない余談を見せるわけにもいかないということを考慮し、別記事としました。
よろしければ他の記録もご覧ください。

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それでは。

計画概要


まずは計画の概要からです。先に結果をお伝えすると、僕らの計画は失敗しました。完遂は出来ておりません。しかし、装備や心構えなど、すべてこの計画をベースにおいて運用していたとお考え下さい。

8/13 パチンコ初日 穂高屏風岩東壁「雲稜ルート(6P/5.11c,A1)」

4:30横尾発 5:30T4尾根取りつき T4尾根(4P/Ⅳ+)登攀 7:00雲稜取りつき→雲稜ルート登攀 14:00終了点 16:00屏風の頭 (デポ品回収)泊


8/14 パチンコ二日目 前穂高北尾根(一級/Ⅲ)

   4:00屏風の頭発 前穂高北尾根(一級/Ⅲ) 13:30前穂高岳 18:00穂高岳山荘


8/15 パチンコ三日目 滝谷「第三尾根(三級下)、ドーム中央稜(三級)」

   5:00出発 17:00涸沢 泊 (体調次第で第三尾根を省略する可能性あり)

と言うことで積雪期の伝統的な登山スタイルであるパチンコを夏にやってみようという計画です。屏風のコルにはあらかじめ水9L食料3日分キャメ♯3ガス缶をデポしていました。

記録

8/13 穂高屏風岩 雲稜ルート

RIMG4460

3:00起床。4:00前に横尾を出発。テントは自己責任たいうことで無料でデポできました。
未明の屏風岩。七面山南壁に行っていたせいか去年より小さく見える。


5:20T4尾根登攀開始。1Pリードのうー先輩。因みにリードの荷物は凄く少ない。(マットぐらい)これにてフォローは体力を著しく削減される。
フォローの仙田さん。因みに、1P目と2P目はリンクさせて登りました。
T4尾根中間部。このあとチムニーがありますが、いろんなテクニックを駆使して突破。基本、フォローを助けるシステムです。


7:00屏風岩雲稜ルート取りつき。この時点でかなり暑く、体力と水を消費する。


7:30 1Pリードの仙田さん。
天気がよい。今年はお盆前~前半が当たりだな。待っていたら仙田さんのサングラスのレンズが落ちてきて、レンズ無し状態で登っておられました。


2Pリードは僕。高度感満点のトラバース。

東稜を登るパーティー。

RIMG4480

腐ったハーケンと0.75でランナウト。直上したらRCCがあったらしいが見つからなかった。
2P目終了点(扇岩テラス)にて。水の消費が激しい。


9:50 核心3P目をリードするうー先輩。
暇なので写真を撮りまくる。
高ーーい。フォローはアブミ1つで登る予定だったのですが、先に行かれた仙田さんがかなり厳しそうだったのでロールンロック2つをハーフロープに装着して地獄のユマーリング。
やっと到着した終了点。前の薄被りから草付きの直下をトラバースするのが4P目。
下の尖った岩が扇岩。


この後の4P目がヤバかったです。技術的、恐怖的核心は間違いなくここです。リードで行かれた仙田さんは本当に凄いです。まず、置いたスタンス、ホールドが全て崩れる。全力で保持ってたカチが飛びます。そして二個前の写真の上側(青いザックの辺り)のフレークが完全に浮いていて叩くと乾いた音がする。更にそのひとつ上の頼みの1番カムが入っているフレークも…浮いている😱遥か下のRCCに掛けたアブミに全力で立ち込んで恐る恐るカムを掴み、スリングをかけて超ゆっくり立ち込む。さらにその上のハーケンは腐っていて、ヌンチャクにテコの原理がかかっている…
更に草付き下のトラバースもフォローの大きな荷物がつかえて反転できない…非常に窮屈で脆い。草付きは持った瞬間ボコォってなります笑


6P目リードは僕。ハイライトピッチ。の筈だった。
フォロー


16:30
6P目終了点から数えて2P目突破口が見つかりません。尾根に出るにはどちらに行けば良いのか…支店も極端に悪くなり、浮き石の量も多く、明らかに登られていない感じでした。ここで左右二択でルートミス。さらに時間を消費します。この時点でビヴァークも検討。水はありません。

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18:00結局右でした。6P目から+3Pです。T4を入れると10Pを軽く越えます。


18:30うー先輩が最後のピッチを登り終えた刹那大雨滝登攀のような感じのクライミングになり、びしょ濡れに。急いでテントポール一本とフライシートで凌ぎます。この時点で水の量がヤバいことになっていたのでフライから滴り落ちる雨を鍋に貯めて涙を流しながら飲む始末。自販機欲しい。セブン○レブン屏風岩終了点店とか出来ないですかね…


 雨が終わって。ここからさらにcont.で進むことを選択。


20:10しかし暗闇でルートが分からず元の場所に引き返してビヴァーク。暗闇で放浪するのはリスクが高いという判断です。二人用テントが岩で更に小さくなり、それに三人で、しかも水無し飯無しビヴァーク。思えば横尾で3:00に食べたカップラーメン🍜🍥以来まともなものを食べてません。


8/14  屏風の頭へ

6:10翌日。水無しビヴァークで脱水症状なりかけて昨日ルートが分からずに引き返した地点。明るいと分かりました。

6:43ようやくついた稜線。苦しい。ここからはハイマツ踏み抜きの恐怖がある稜線歩き+藪こぎ。


7:30乾きに耐えられなくなり、突然ブルーベリーを爆食いし始めるうー先輩。辺境ヒマラヤニストは違いますね。


8:00急登を登りきって稜線の最後の藪こぎ。気合いです。


酷い藪に辟易するうー先輩。

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8:12やっとついた頂上。屏風の頭。
この後、東稜を登られていた水戸の山岳会のパーティーと合流しました。聞けば向こうも水無しビヴァークで、横にもなれない半お座りビヴァークだったとのこと。寝れた僕らはましでした。

そのパーティーの方に撮っていただいた写真。良い顔してます👍

昨日ビヴァークした時点で計画通りの継続登攀はほぼ不可能になっていたのですが、ここまでのメンバーの体力消費具合と2日後に台風が直撃するという事実が僕たちに前進の歩みを止めました。悔しいが僕らは頑張った。はじめからそんなに上手くは行かない。これを良い経験として次に繋げよう!そんなポジティブな思いを持って下山を決断しました。


告白すると、僕は既に体力消費が激しく、雨と水無しビヴァークで心身共にやられていたので少し厳しい状況だったので敗退は受け入れました。僕はまだまだ弱かった。


と言うことでパチンコ用のデポ品が要らなくなったので、水戸パーティーの方々に声をお掛けし、皆で飲んで食べることに。彼らも厳しいビヴァークの後で「水が宝石に見える」と大変喜んで下さったので僕も歩荷冥利に尽きるという楽しい時間でした。3人パーティーで凄く雰囲気も良く、前日から雲稜と連登されているということで、とても強い方達でした。冬もやられるということでした。また何処かでお会いしましょう!


彼らは涸沢へと下山され、僕らは横尾に。途中熊が出たり仙田さんが草アレルギーになったりしましたが平和なものです。

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12:50奥又白出会い。この時、もう一泊何処かでして風呂でも入ってから翌日帰ろうと思っていたら、仙田さんが隣の錫杖岳で登っていた先輩たちに何やら連絡をし始めて、二枚舌外交(小声)の末、監督にお車に乗せていただけるとこに。


13:30下山。ここから横尾まで往復してテントを回収します。
装備の整理の様子。

この後も出来るだけ急ぎながら、何と社会人であるうー先輩にありがたーーい社会のお話を聞きました。


17:30頃上高地発の臨時バス(最終の一個前)に乗り込み、遂に上高地を後にしました。平湯で監督と合流し、急いで風呂に入った後、監督のお車で帰宅。途中のSAでは夕食営業終了10分前ぐらいに入ってアブナイ思いをしました。主に監督の体験談を交えた楽しいお話が車内で繰り広げられていて…僕は疲れで眠っていました。


家の近くまで送っていただいて本当に助かりました。本当にありがとうございました。お礼の言葉も出ないほどです。

総括

今回、計画していたのは失敗しましたが、身の丈にあっていない困難な計画でしたし、アルパインの厳しさを含め色々なものを吸収することが出来ました。今は凄くアルパインのモチベーションが高いです。失敗したといってもあの荷物で屏風岩をトップアウト出来たのは良かったし、次に繋がる糧ともなりました。

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